くつろぐ、たびログ

創業126周年の老舗!入河屋さんへGO

入河屋さんの店内

入河屋さんの店内

浜松市北区三ケ日町にある入河屋さんへ行きました。浜名湖の西岸にあり、お店は浜名湖のすぐそば。浜名湖ドライブの途中にお土産スポットとして寄るのにちょうどいいロケーションです。創業は明治18年で、いまのご主人は5代目、126周年を迎える超老舗ですが、和菓子だけでなく、洋菓子もおいしい。どちらも種類がたくさん。お店の構えからして、和菓子が専門のように感じられますが、洋菓子がこれまた、おいしい!入河屋さんは、何軒か店舗をだしていますが、この三ケ日のお店にしかないケーキが何種類もあるそうなので、わざわざ足を運ぶ価値ありです。入河屋さんといえば「みかん最中」が定番ですが、ほかにも三ケ日ならではの名品があります。

今回、お買い上げなのは、「陽だまりの丘」(プレミアム)です!

陽だまりの丘のパッケージ

陽だまりの丘のパッケージ

一本1,780円とちょっとお値段高めのロールケーキ。「なにがプレミアムなんですかぁ~」とお店の方に聞いてみました。このロールケーキ、小麦を使わず、国産の米粉をつかったもっちりしっとりなロールケーキ。生クリームの中には、三ケ日の青島みかんが入れ込んであります。でも、それだけじゃないんですって。蜂蜜が入っているのですが、使っているのは、入河屋さんのお隣のお店「長坂養蜂場」のみかんはちみつ!長坂養蜂場さんといえば、三ケ日みかんを使った蜂蜜などで、かなり有名な蜂蜜やさんですが、実は、入河屋さんと長坂養蜂場さんは、ほんとにお隣さんのお店です。どちらかの駐車場にクルマを停めさせてもらって、両方のお店に行けちゃうくらい、目と鼻の先。そんなお隣コラボなロールケーキです。
思わずおノドがごくっと鳴って、「これくださーい」と注文です。冷凍での販売ですが、売っていただいたときから24時間以内に食べてくださいね、とのことです。食べる前に、解凍して食べるのですが、「夏場はとくになんですけど…、半解凍の状態で食べるのが一番おいしいんですよ」と教えてくださいました。

陽だまりの丘プレミアム!

陽だまりの丘プレミアム!

さっそくおうちに帰って、すぐ食べてみました。教えていただいたとおり、半解凍で。

やっぱり米粉&ハチミツ入りのロールケーキなのでスポンジがしっとり、ふわふわ。落ち着いた感じの味わいです。で、その中の青島みかん入りクリームが、めちゃめちゃおいしい!甘さ控えめな生クリームの中に、半解凍状態のみかんが入っていて、ジューシーでシャリシャリした感触が、なんとも言えず新鮮!雨降りで、ちょっと肌寒い11月なので、半解凍で食べるのはちょっと冒険かなと思ったのですが、正解でした。しっとりとシャリシャリジューシーが、絶妙のコンビネーションをかもし出していて、「もうひとくち、もうひとくち」とどんどん食べ進んでしまいました。ということで、「家族のぶん」は消滅しました。家族には、黙っておかなきゃなりません。(このブログ、家族にばれてないといいけど…)

入河屋(三ケ日店)さんの住所は静岡県浜松市北区三ケ日町下尾奈83-1。電話は053-525-0902。ウェブサイトもあります。入河屋のウェブサイトはこちら。

家山の老舗醤油やさん、マルイエ川根本家へ行きました

マルイエ店頭

マルイエ川根本家店頭

SLで有名な川根・家山。そこに、隠れた銘店、ならぬ有名な銘店があります。
SL見学にいって、趣いっぱいな家山駅前をそぞろ歩いていると、「おお、なんか、すごそうなお店がある。」と気づきます。古い外観のお店で、ただならぬことは見習いでもすぐわかります。看板にも、手造りの味味噌・醤油とあるし、きっとすっごい由緒あるお店だろうなと思って店内へ・・・。店内には、お醤油とお味噌が数種類あるだけで、これは、少数精鋭なお店だと感じました。
とはいえ、一番小さい500mlの「マルイエしょうゆ」は262円。たしかに安くはないけど、べらぼうに高いという値段ではないです。「これって、やっぱり国産の大豆を使った、ホンモノしょうゆなんですよねぇ?」とぶしつけにも聞いてしまいました。

そこで伺ったお話に大感激。ご主人の村松さんに、マルイエしょうゆ川根本家について、いっぱいいっぱいお話、聞いちゃいました。

聞いてびっくり、マルイエしょうゆ川根本家は、創業明治43年。つまり、もう100年以上続いてるってこと。お話伺ったのは3代目で、実は、もう4代目もいらして・・・と、超老舗!

そんなマルイエしょうゆのこだわりしょうゆ、興味深深だったので、「ってことは、おしょうゆって、どうやって作られるんですかぁ」と見習いな質問をたて続けに投げかけたら、神対応。
「だったら、ちょっと見てくかい?」としょうゆを作っている工場を見せてくださって、製造過程について、丁寧に説明してくださいました。

マルイエしょうゆ

マルイエしょうゆ

マルイエしょうゆ、なんと、お店に並ぶまで1年半かかるそうです。普通は6ヶ月くらいなのに、です。なんでこんなに時間がかかるのかというと、マルイエのしょうゆには、風味や味にかかわる成分が300以上入っているのだとか。乳酸菌・アルコール・ブドウ糖・アミノ酸・・・。たくさんの物質が、絡み合って、複雑な香りや味を作り出しているので、6ヶ月では、そういった成分を作り出す乳酸菌などが十分に出てこないのだそうです。

しょうゆ造りの工程を説明してくださいました。まず、大豆を蒸して、小麦をいってつぶします。そしてこうじとまぜて、ムロに入れます。ムロではこうじが発酵して熱を発します。そこを40度くらいに維持しなければならず、3時間ごとに様子を見に、ムロに入って調整しなければなりません。この作業に4日かかります。こうした「仕込み」といわれる作業は、毎年1月から4月まで行われ、とても大変な作業なので、お花見にもいけません。だから工場にはお花のポスターがいっぱい張られ、春には仕事の合間に工場でお花見気分を味わうのだとか。

それから塩水を入れた、9000リットルも入る木のたるに移し、熟成させていきます。そのままだと底に二酸化炭素がたまってしまうので、毎日毎日かき混ぜなければならないのだそうです。この9000リットルの木のたる、覗かせていただきました。ココアのように不透明な茶色をしていて、表面にぷつぷつと白い泡が浮いていました。工場に一歩足を踏み入れると、ふわっとしょうゆのやわらかいにおいがしましたが、たるを覗くと、その香りをじかに感じることができます。ひとことで言い表せない、とっても複雑で調和の取れた、マイルドなかおりです。

こうして一年半たつと、やっとしぼりの段階です。大きなお風呂のようなところで、布の袋につめられてしぼられます。殺菌のために、熱を加えますが、冷ますときは、装置などを使わず、じっくりと自然に任せて冷やします。こうすることで、全部の菌を殺してしまわずにすむので、風味が増すのだとか。

工場には9000リットルの木のたるが3つあります。創業から受け継がれる木のたるで、いままで一度も洗ったことがないそうです。木でなければ、この味は出ず、洗ってしまっても、いままで受け継がれた味やかおりが途切れてしまうのです。とはいえ、古い伝統を守りながらも保健所の基準を満たせるよう、新しい技術で対応しています。

こうしてこだわりの製法でつくられているマルイエしょうゆですが、材料も選びぬかれた品です。材料はすべて国産。仕込みは1月から始まりますが、材料は、その前の年に作られた新鮮なものだけ。塩は、赤穂の海塩。味噌に使われる米は、近隣の農家が作ったもの。前年に近隣の農家であまった米を積極的に使っているので、どこの米かはしっかり分かるし、地域の経済の循環にも一役買えるのだとおっしゃいます。

材料も製法も考え抜かれた一級品のマルイエしょうゆですが、3つのたるで作られるのは、年間27000リットル。これ以上の増産は不可能。責任を持って作れる限度の量だとか。
とはいえ、実は、フランスのレストランでもマルイエしょうゆは使われているのです!味にうるさいフランス人にも、本当のしょうゆの味を知ってもらいたいと語っておいででした。

マルイエしょうゆとマグロ

透明感があり、スマートな味

ということで、これだけおいしそうなお話を、いい香りの中で伺っていたので、「ぜったいマルイエしょうゆ、食べてみたい」と思いました。マルイエしょうゆ、お買い上げです。
さっそく、マグロの刺身で食べました。お皿に出してみると、濃い色だけど、透明感があり、とってもキレイ。主張の強すぎないすっきりした香りがふわっと広がります。マグロの刺身につけて口に運ぶと、しゃきっとスマートな味です。キリッとしまった雑味のない、しょうゆらしい辛さ。しょっぱいとか、何かの味が飛び出ているといった感じがなく、とっても調和のとれたバランス感のある味です。いろいろな成分が交じり合って、この味を巧妙につくりだしているんだなという風です。これが300成分の味なのですねぇ。思わず、しょうゆだけをぺろっとなめてしまいました。おいしい!

マルイエ川根本家、静岡県島田市川根町家山796、家山駅から徒歩数分です。電話は0547-53-2212。